冬を更迭する
コーリャ


みぎてだけが冷たくてすこししめっていて
どうして?
雪でもふってるの

ゆうぐれとあさやけがわかちあえる世界
越境するのは鳥たちで
ひとびとはただ
紫いろの宇宙をながめていた

あの降雨のいちばんすきとおったあたりは
じつは過去がながれている川で
たくさんの顔がうまっている
どれも残忍な季節みたいな表情をしていて

深夜から降り出した雨にとじこめられてしまう
樹木が罰みたいにはぐくまれる日
言葉で燃やしたあとに
氷像になってしまうといい
202号室の誠実

月がふたつうかんでるけれど
どちらもほんもの
右手のほうがゆうやけ
左手のほうがあさやけ
混交するむらさきの宇宙
鳥たちが白光
トランスパーレントしていき
地平線のかぎりをさがしにいった

炭化した水曜日
ささえきれない掌のそば
ちいさな
光がちりはじめて
そこからタイムスリップすることができるような現象に
せめてべつの名前を


自由詩 冬を更迭する Copyright コーリャ 2010-03-06 07:16:05
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