１００３０５

食卓から
塩が消えて
船縁が遠くなり
気勢が上がらない
塩分が否定されたのだ

全自動デジタル炊飯器の
お世話になってから
竈の火も消えて
すっかり冷たくなっている
猫も寄りつかないから
無用の長物だと
取り壊し運動も盛んになって
竈はすっかり姿を消したのだ
民具として残したいと思ったが
システムキッチン導入の時に
泣く泣く処分した
涙声で報告する声を聞きながら
時代が変わったのだと慰めて
食卓塩の瓶をそっと手渡す
食欲が増して
食べ過ぎないように
瓶の蓋には
塩分５％以内と
書き加えた

「ｐｏｅｎｉｑｕｅ」の「即興ゴルコンダ」投稿作。