3月の雨
朧月

雨が射抜いたまだら模様の私が
顔のないまま通り過ぎていった
3月の雨は まだ冷たい

たくさん着込んでいるのに
袖口から 襟首から
風も雨もはいってくるから
ふたつの目を開放して 送り出した
大量の水

水溜りに映るのは
人間みたいな動物
車のはねを浴びたから もうぐちゃぐちゃになった

雨のまだらが ちょうどよく
だれかを隠してくれるから
そのままで叫ぶことにした

ごめんなさい も
自分は悪くない も
全てが
雨音が消していった その欠片は

あなたが嫌いな私なのです
あなたがすきな私とは
あなたみたいな私です
あなたになれない私こそ
私 そう言いたくて

雨が射抜いたまだら模様の私は
顔のないまま通り過ぎていった
雨はまだ 冷たくふっているのです





自由詩 3月の雨 Copyright 朧月 2010-03-04 16:59:48
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