『骨を喰らう』
あおい満月

肉に噛みつく
糸になり分裂する筋肉
絡め取る舌が捲るあからさまの白い現
尚も残る塩味の皮脂が依存症を掻き立てる

進め、進め、白い刃
開く、開く、咽喉のブラックホール

カチンと何かにぶつかる

骨、骨、黒い骨を巻く白い皮膜
カリカリと音を立て行く手を阻む

骨をかじる
肝臓の欠片が溢れ出す
骨をかじる
骨の中の骨を吸う
骨を開く
骨を流れる血潮を掻き出す

最後にしゃぶる
顛末を終える

星屑のかたい欠片が舌の上で踊る
泥を振り落とすように
わたしはそれを吐き捨てる

手も振らずに

骨は
いつも喰らい切れない





自由詩 『骨を喰らう』 Copyright あおい満月 2010-03-03 21:40:47
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