一言主
……とある蛙
葛城山の一言主神は
悪事(まがごと)も一言、善事(よごと)も一言
言い離(はな)つ
葛城山の一言主は
若建(わかたける)※1の
悪事(まがごと)一つ糾せなかった。
葛城のウカラ※2の没落に
なんの救いを与えずじまい。
記ではまつられ
紀では懇ろ
葛城山の一言主は
悪事(まがごと)も一言、善事(よごと)も一言
言い離(はな)つ
神であって尊ばれ
大和の首長には蔑まれ
紀では終にはお見送り
一言無念と言い離(はな)てない
一言主の悲しさよ。
まつりあげられることの悔しさよ。
その報い
若建(わかたける)のウカラの没落で
他人(ひと)の手により
ようやく成就
葛城山の一言主は
悪事(まがごと)も一言、善事(よごと)も一言
言い離(はな)つ のみ
ただそれだけの神になる。
※1 雄略の意
※2 家族あるいは一族の意
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記紀