私に住まうエレファント
窓枠

現実世界にこそ悪夢がある
わたしたちは同列を見比べれば
無秩序な鉄槌を下しているのだ

(ジョゼフ・メリックの泣き声を耳にしたか?)

コンマ数秒という早さで鉄の雨が降りだす

今日は 明日は
誰が胸を貫かれねばならないのか
あなたはどうして幸せだと言えるのか

疑問符を並べて
腐っていくのは脳ではなく
感情なのかもしれない

(彼の生涯に何かを見ることができたか?)

世界が滅びればよい
と 願う人々を握りつぶした
わたしたちは偽善者に成りうる存在

バイブルにしがみついて
自意識過剰になったとしても
危ない橋だけは避けて渡る

認められないことは次第に無視され
忘れるんだって置き去っていく

まぶしい明日にこそ未来が見えるなんて
その人にしか見えてはいないのに

(彼はエレファント・マンと呼ばれていた)

自堕落な骨なしたちが笑ってるぞ
顔も見えない文字だけを囲い
根も葉もないごたくを言い合っては
真実にもネタにも扱っているんだ

フリークスが誰にでもひそむ神なら
男も女も死人も動物も
世界は神様で溢れかえっているんだろうか

(彼は仰向けで眠りについて、そして亡くなった)

分からないことは分からない
知らないことの多い景色でも
知らん振りはしてられないよ

変革をもたらす恐れを
怖いと逃げてしまえば
泥まみれになってしまうんだ


(私はそんな彼のことが好きなのかもしれない)


好きで生まれたかどうか
そんなこと
よりも
何かひとつでも好きになって

 わたしは死んでいきたいね



自由詩 私に住まうエレファント Copyright 窓枠 2010-03-02 00:02:49
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