はかない微笑
伊織
はかない微笑
世界は僕のためになんか動いてくれやしない
はかない微笑
でも、世界は私のためにだって動きはしないよ
嘘だ、君も同じように傷ついているんだ
だってそんなに悲しい目をしているじゃないか
そうよ、明日も昨日も分からない
私にできるのは微笑むことだけだから
変わるのかい?
そんなことで僕たちは変われるのかい?
分からない。
でも何もせずにいても世界は振り向いてくれないから
例えそれが本当だとしても
君の笑顔は僕を悲しくさせる
僕は君を見失う気がしてくるんだ
たぶんあなたがあなたを見失っているだけだよ
霧の向こうに消えてしまう船のように
きっと僕は消えてしまう
そして君も消えてしまう
僕と君はよく似てるよ
だからあなたは私を手に入れたい
私を纏うことでひとりではないと安心したい
そう、だって同じだろう?
僕と君は同じだろう?
違うよ。
交わった直線は離れていくだけ
あなたと私が一つになるなんてありえない
はかない微笑
世界は誰のためでもなく動いている
はかない微笑
誰もが違う世界の中を動いている