湖上
瑠王
夜の孤独は鳥を人へと戻す
しかし月の光糸は四肢を奪い
湖上の波紋で輪を描く
許されたのは踊ること
太陽の下では人であることをひた隠し
言葉も忘れ 悲鳴は呼吸よりもその姿を潜め
矢が貫こうとも誰も受け止めやしない
涙など落ちぬ
沈めぬ水面に羽根はただ浮かぶ
その翼がどんなに美しいかなど
最早どうでもよいこと
太陽の下では名乗ることも許されず
パ・ド・ドゥは幾度も黒鳥に奪われ
破られた誓いは幾つもの白い灯火の群舞
ならば、あるのかもわからぬ真実など
最早どうでもよいこと
この湖上で呪いの解けたものなど何処にいよう
踊れ 踊れ
一糸乱れぬ悲調を揃えせめて各々の夜に酔え
そうすることで気が晴れるなら