パンドラ
月乃助

うぶごえをあげた春が、もう
街にすがたをみせる
通りの角から
にぎやか過ぎるその声音が、
あたしを助けにきてくれる
手をひくように

階段をのぼったら
勇気をほんのすこしばかり だして
あの頃の夢をこわしてみる

あたしは、
十四のあたしの夢に
負けてしまっているのですか
結局むかしを思い出しては、
涙をながしたり、 

あんなにも輝いていた
若さにすべてを まかせ
後悔を知らずに進んだ どこにも
数えられないほどの道が開かれていると
信じていた

まっすぐに見てください、
目を合わせることもできないほどに
小さくなって しまわずに
厄介なことは 見ないようにしては、
学んできた
もう一度 問いかけてみたら
答えがもどってくるのかもしれない
楽しい言葉で 満たされたそれを
大事にするように生きていく、

誰も 後戻りはできないのだから
あたしは、思ったように生きていく
言葉でなく、
手にした物や金銭の多さでなく、
知り合った人の数でも、ありはせずに
心をみたす その充足の
満足感を手にして 
数えてみる

数の少なさに、
こわがったりせずに
落胆でもしたら
十四のあたしはきっとあざ笑うに
きまっている

今まで何をやってきたの?あんたは、

終わってしまうのなら
そんな結末もよいのです
普段着を脱ぎ捨てるように 
それさえも 面倒なら
ぷいと 歩き去ればよい

成就されることがなかった希望や夢など
知りもしなかったと、
忘れてしまい
少しばかり、涙をながせば
よいことなのですから
 
ここにだって、陽はあたっているのです








自由詩 パンドラ Copyright 月乃助 2010-02-28 15:02:40
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