午前の森の中に
七つの池を巡った
エメラルド色を湛えた 太古の静寂は
やさしい風をふくむたび
燦めく微笑みを見せた
僕たちの前の 永遠の現場
蒼空の中には 白い幻のように
わきおこる思いと とめどないあこがれが
その影を落としてゆく・・・
空 から降りて来た 君 を
水の中から 見上げた僕
逆光の中の透明な空間の
向こうには白い鰯雲が・・
岩膚に充ちた光と沈黙
あれは・・・
虚空を過ぎてゆく幻影
たしかに・・
熱泥のささやきと大地の叫び
ぼくたちの・
始原を逆登る小さな歩みを見守る
神の掌
吃立する白い噴煙
高い爆音に思わず振り返ると
木の間から 神の山が臨めた
あの不気味に吹き上がる
噴煙の空間から
降りて来る灰
迷い込んだ小径を登りつめた稜上は
人知れない 神域 だった
尾根の両側は深く海に落ちていく
空間が少し歪んでいた
陸を離れて海の彼方へ
潮風と日のかがやき
そのふしぎな解放感のなかで
僕たちは眠った
海がひびき 鳥が飛び 波が燦めいた
光の中を遠く去りゆく漁船 島影・・