ライン
たもつ



回ることをやめた
ライン
過程と工程の
限りない
狭間で
先端で

血小板の
ひとつひとつまでもが
記憶している
置き去りにされた
メモ書きの表面がたてる
微かな音を

風に聞きそびれたことのいくつかを
口の中で転がせば
ライン
安い酒の臭いがする海岸に
うちあげられた深海魚の
口から出ている
私の内臓

自動扉が開く
空から落ちる水を
雨、と呼ぶようになってから
何年生きたことか
生乾きのまま
ライン
足跡に消える



自由詩 ライン Copyright たもつ 2010-02-27 19:41:41
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