綺麗事
nonya
自傷天才詩人の
ブラックモア君は
半端な綺麗事ばかり書くなと
僕を罵った
確かに
君の本音剥きだしの綺麗事は
美しいけれど
明らかに
臆面もなく格好つけていいのは
君のほうだけど
紛れもなく
後出しでもジャンケンに負けるのは
僕のほうだけど
もしかしたら
君と僕の違いって
綺麗事の色合いと反射角が
ちょっとだけ違うってこと
なんじゃないのかな
君のは
愁いの霧にラッピングされた
綺麗事
僕のは
皮肉の茸をトッピングした
綺麗事
どちらも
傷ついていない
血と
骨と
肉によって綴られた
薄っぺら
少し湿った
安っぽい臭いがするところなんて
そっくりだね
だから
仲良くしてくれなんて言わないから
そのちんちくりんな眼差しで
僕を見下ろすのだけは
やめて欲しいな
せっかく
逃げ道だらけのフィールドで
綺麗事を見せ合ってる同志なんだから
もうちょっと円やかに
絡み合おうよ
召喚できる言葉の数なんて
五十歩百歩団栗背比べなんだから
偽物も本物も
勝ちも負けも
上手もド下手も
なんにもないんだよ
ブラックモア君
って
これもたぶん綺麗事だね
ははは