春一番
nonya


苦笑まじりで
激しくうなずく街路樹

あきらめ顔で
でたらめに踊るビニール袋

恥じらいながら
身をくねらせるのぼり旗

慌てふためいて
路上で死んだふりをする放置自転車

やんちゃな好奇心を
縦横無尽にほとばしらせて
街と季節を一気に
捲り上げようとしている南風

乱れた前髪に視界を
くすぐられながら僕は
交差点の向こう岸ではためいている
しかめっ面の君に
威勢良く手を振った




自由詩 春一番 Copyright nonya 2010-02-26 20:34:25
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