螺旋
月乃助


まっすぐな 道も
あったのかもしれない
どこまでも続く、単調さがいつか
ありがたいものだと、
気づかされる

そんなもの本当にあるの?
真実は、蛇のように曲がりくねった
螺旋のそれを上ってきた

ときにつまずいたり
ときに下り坂があったり
切れたそれを、とびこえたり
はてしない空を飛ぶ鳥の
便利な翼があるわけじゃなし
ふかい水をゆく魚の
しなやかな鰭があるわけでもない
苦労しながら
一足一足続ける

誰もほめてくれず それでも
どうしたってやめられず
泥の中をあるいたことだって、
自分が嫌いで、あきあきしても
背中に人の笑いを受けながら
それをすこしばかり気にしながら
足を出す

大きな声で叫びたくなっても
声に出さずに
ひとり小さく笑ったりしながら 悲しみ
道から外れないように 心配しながら 悩み
それが きっと
幸せだと 自分に言い聞かせて
いつまでも続ける

螺旋のながい
ながい上り坂
果てなどない






自由詩 螺旋 Copyright 月乃助 2010-02-26 19:05:49
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