冬と色
木立 悟







午後散る坂を
街へ街へ下りてゆく
冬のまぶた
遅い息


夜はうしろ
夜はうしろ
明るくも
暗くもなく


灯は近づき
人は居ない
すべての底に
道はまたたく


昼の光の失い昼が
壁と鏡に貼りついている
のばした腕の高さ分だけ
夜は回り 夜はうつろう


まばたきの音が地に積もり
低い空に照りかえす
水になるもの 色になるもの
夜へそそぎ にぎやかになる


霧をついばむ
灰の星の子
岩はひとり澄む
湿る手のなか


わずかなちがいのくりかえしから
はじかれるもの はなれるもの
かがやく金の首輪を外した
空のさかなの棲むところ


皿と空白 かわいた絵の具
色は無音 無音は言葉
にぎやかににぎやかに降りそそぎ
にぎやかににぎやかに消えてゆく


























自由詩 冬と色 Copyright 木立 悟 2010-02-26 05:46:05
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