わたしが 音楽だったころ
るるりら
わたしが音楽だった頃
わたしの髪は風になびいたの
軽く、ほがらかに
わたしが音楽だった頃
わたしの頬は朝やけのたびに
ほころんだの
心の奥で太陽の灼熱が
わたしを中から炎と燃えて
風に揺らいで 夢をみたの
わたしが楽章だったとき
恋の辛さとその幸せに焦がれたの
わたしがブレスだったき
あなたに出会ったの
戦慄すらも旋律になり 遠き人も
いつも、信じて 夢をみたの
わたしが リフレインだったころ
苦しんでいるときも
なやんでいるときも
音楽で在りつづけることを誓ったの
わたしが音楽であった頃
なめらかだった皮膚も
しなやかだった姿も
鳥と高さを競った声もうしなったの
神様に音楽で居させてください
と
それだけは お願いしたの
そして、私は 88の鍵盤になったの