言うまい
乱太郎


海と陸に幾つもの水爆が落とされて
夕日が消えてしまった

森林が砂塵に帰して
息が止まりそうになる

人間が
スピンオフエイプの化石として
砂漠に埋められた

世界は焦土に食べられて平面な骨となり
暗闇から沈黙が
永遠に浮かび上がってくる


夢なのか
教えてくれる者は誰ひとりいない

もう君はいない
それは確かなことのようだ
もうろうと造った墓標を後にして歩きだす

瓦礫となった街で
コンクリートの破片拾い
アスファルトに刻んでみた

「君といた
世界はどこまでも美しかった」

朝日を探しにまた歩き出す



自由詩 言うまい Copyright 乱太郎 2010-02-23 18:39:20
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