太古の過ち
真島正人
時間は不可逆なのに
舞い戻ってくる
生物の
柔らかさをまとって
僕は
悲しい
寂しい
どうしたらいい?
すべての過ちが
生えそろう
青々と葉を茂らせて
背の短い野原を作る
その場所にしゃがみこむ僕の
尻は濡れる
朝露によって
そして僕は泣いてしまう
さめざめとした気持ちで
ぐるり
と
回る
時間は回る
時計のあの形など
時間は気にもとめまい
預言書が描いたすべての筆記事項を
時間は笑いながら否定して
黒人歌手のスピリチュアルな
叫びをあざけって
黒い鳥の心臓で持って
神官たちを
欺く
青ざめさせる
それらが繰り返されてきたのだ。
『あの頃』が
僕の中ではまた
別の姿で心象に現れる
それは幻だが
僕の心そのものだ
父が白黒のフィルムの中でおどけて踊り
僕の視界はカラーの
車内に映る
目前のガラスが雨と霧に濡れている
岩の多いどこかの小道
標識が
道を指している。
僕たちは休憩する。
それにしても時間とは
地球単位のすべて
さらに広いすべて
僕の単位のすべて
すべてそれそのものになる。
いくども
粉々に引き裂かれ
つながり
ウソをつき
そして
僕自身になる。
なんてこった!。