出迎え
15フィールズ

彼女がいろんな物事についてあれこれと意見を述べている間
僕は視界の隅にある一輪の花について考えていた
もちろん話が聞こえる程度に
ごく控えめに





君がもう話すのは7回目の長編を語り出したので
僕はもう少し花に意識を集中させる





イノセントな悩ましい花
無くしては生きられない害虫がその花びらを這っている
求めれば求めるほどに
与えれば与えるほどに
色褪せ
渇いて
朽ちる
だから害虫なんだ
そんなの気にすることはない
僕は気付いてるぞ
君はその花の陰に隠れていること
いつだって出ておいで
ピカピカの靴で出迎えよう
そうすれば少しは安心だろう?
約束しよう
ピカピカの靴と
君の望む凶器を















「つまり、私の言いたいことはこれだけなの」と彼女は7回目の結末を口にした
「分かってる」と僕は言う
彼女だってきっと分かってるさ
「愛してる」と僕は言う
何回言ったか分からないけど
いつもここから先の言葉は無い
ここからはたぶん
ドアのノックと
君への届け物を待つだけだ


自由詩 出迎え Copyright 15フィールズ 2010-02-22 03:08:57
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