栞
相羽 柚希
春の便りは未だ届かないのでしょう
もう通わない通学路
バスからの景色は結露に滲んで消えそうで
改札は湿り気の強い泥だらけですもの
誰も居ないキャンパス
いつもより広く見えた
喫煙禁止エリア
真新しい学食の前
タバコに火を点し
思い出を煙に巻く
もう通わない通学路
いつも読んでいた本に挟む栞
煙に幻を見て
溢れた涙は雪に溶け
風に運ばれた花粉に
くしゅんと、くしゃみ
春の便りは未だ届かないのでしょうか
いつも読んでいた本に挟む栞
自由詩
栞
Copyright
相羽 柚希
2010-02-22 02:33:59