なき

わぁっと泣きたくなって
鯰の夢を見る
巨大鯰の古代魚
大きな口
足に絡み付く皮膚


一生懸命逃げる
逃げる自分を遠巻きにする
逃げるときにだけ、一生懸命になれる気がする


巨大鯰は陸に上がって
ぬらぬら私を追いかけてくる
広い海のような沼では
仲間がたくさん跳ねて踊って
私も鯰の上で跳ねる
跳ねる跳ねる
滑る

全てが月に照らされているのに
月は見えない


古代魚鯰は頑丈な顎を持っているのに
歯がどれも小さい


どうでもいいことの好きな私は
どうでもいいことばかりに気がついた

躓く石があったなら私は必ず転ぶのだ


巨大鯰は陸に上がって
ぬらぬら私を追いかけてくる
木々のトンネルを通り抜け
トトロみたいに体を膨らませ
頑丈そうな顎をして
私をなぜか追いかけてくる


少しの恐怖が芽生えたら
それが目を覚ます合図になると
昔の思い出が語っている



自由詩Copyright なき 2010-02-22 01:20:38
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