それは昔に
15フィールズ
二人並んで座る防波堤
絶え間無く続く刹那を
思いつきのお話に変えて
僕達は時を過ごした
実は君とは氷の大地で出会って
僕は凍えそうだったんだけど
君が笑った
その時を保存したいから
凍りつく身体を許したんだ
なんてことを彼女に話したら
取り返しのつかない程濁った夜空を見ながら
「馬鹿みたいね」
と言われた
確かに
馬鹿みたいなお話だ
たぶんいま僕達の上では
無数に落下している星達が
宇宙と夜空の間で
燃え尽きては消えている
僕達には見えないけれど
それは確かに消えている
その燃え尽き消えた星は
一体どこへ行くのだろう
しばらくして
彼女は僕の肩に頭を載せて
音もなく静かに泣き出した
彼女の小さな振動が
不定のリズムで僕に伝わる
その時僕は
泣きたかったのかもしれない
けれどもうそれは思い出せない
わかってることといえば
これからの僕達のことだけだった
僕達の上にゆっくりと
燃え尽きた星が降りてきて
お話の終わりを優しく朗読した
やがて本当に消えた星を背に
僕達はそれぞれ
新しいお話を探しに行った