[味覚障害]
東雲 李葉

日々漠然と感じる不安を煮詰めてみたり薄めてみたり。
どちらにせよ「現実」を見るのが怖くって。
ついつい要らないことをしてしまうんだ。

行き詰っちゃったらリセットして、
やり直しなんかできないの知ってるからそのまま積んで、
埃かぶらせて新しいこと始めちゃおうかなんて。
ああ、いつまで子どもみたいなこと言ってるんだろう。

頑張っちゃってる人を見てて辛くなる。
成功しなくても「頑張ったね」って言ってもらえる人が羨ましい。
そういう人は見えない所で頑張ってるんだよ、って、
そんなこと分かってるからちょっと黙っていてくれない?

人生かけてどれだけ怠惰になれるか試しているの。
そう、思うことにしちゃおうか。
「こんなにダメでも生きられるからもっと気楽に生きなよ」って、
悩める子羊たちを巻き込んでみんな仲間にしちゃおうか。

ばかみたい。ばかみたい。あたしただの動物じゃない。
なに、高尚な生物ぶってんの。
食べて、飲んで、出して、眠って、やって、死ぬだけじゃない。
難しいことなんて何にも無いじゃない。

出来ることがいっぱいすぎて時々分かんなくなっちゃうよ。
濃ゆい味に慣れすぎてそのままの味が分かんなくなっちゃうよ。
もっと質素に簡素に生きたいよ。余計なものもうなんにもいらないよ。


自由詩 [味覚障害] Copyright 東雲 李葉 2010-02-20 22:00:59
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