15フィールズ

夜空にはごく控えめに顔を覗かせる月が控えめに輝き
この橋の下ではいつものように川がせせらぎを纏い流れている
この橋の上を行き交う人々はみんな無言で(もちろん僕もその中に含まれる一人だ)
ただ時間だけが暗く消耗していくような
そんないつもの夜だった





何故だろう
本当はとても気分が昂揚しているのに
平静さを装えるのは
いつもの夜を感じることが出来るのは
こんなにも不安なのは
僕はここに来る前に
望み通り何かを壊してきたというのに





そういえば僕は何を壊したのだろうか
本当に望み通りだったのだろうか
壊し切ったのか
そもそも壊せるものだったのだろうか
だいたい何故それを壊そうと思ったのだろうか
そしてそれはそこにあったのか
あれがそれではないのか





たくさんの何かが潜むこの場所で
僕は僕の名前を誰かに呼んで欲しかった
けれど
もちろんそんな奇跡は
当然、一つとして起きなかった


自由詩Copyright 15フィールズ 2010-02-19 19:58:18
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