孤独な群衆
青井とり


ひとりぼっちの叫びは
雑音に埋もれて
私は群衆の真ん中で
ただ 立ち尽くすだけ


ホームに溢れるエキストラ
誰も知らない
私は 彼を
彼は 彼女を
彼女は 私を
誰も知らずに
通り過ぎるだけ

喧騒こそ静寂
群衆こそ孤独

ボーダーラインが失われたなら
混沌が甘美な誘惑をちらつかせる



ああ だからこそ
この手だけは離さない




自由詩 孤独な群衆 Copyright 青井とり 2010-02-17 23:24:22
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