遠く遠く
見崎 光

憧れとは幻

手を伸ばしても
触れる事のできない領域
追いかけた背中も
求めた笑みも
深海で漂う気泡


風を縫う鴎は海上で
ただただ祈りを捧げ陽を仰ぐ
“どうか、アナタが
幸せでありますように”と


静かに沈みゆく幻は憧れ
穏やかに浮き
昇りくる気泡は呼吸



アナタを乗せた舟は
沈んで沈んで海の底
潮騒は涙さえも届けてはくれないけれど
欠かさず飛んで飛んで飛んで
いつか笑顔を見送るまでは…




自由詩 遠く遠く Copyright 見崎 光 2010-02-15 21:47:00
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