蝶舞台
オンガシ



闇の舞台であなたは舞った

透ける肌に七色の花粉を翻し
長く白いしなやかな腕を
仰ぐ幻空にゆらりと延ばす

敷き詰められた色とりどりの蝶
妖しく燃える香りに目眩
金色の髪の緩い調べに
差し伸べられた手を取った

あなたを後ろから掻き抱いて
もどかしい背中に噛みつき
むせ返る香りに沈んで踊る

わたしを忘れかけたあなたが
熱い吐息で囁きかける空
白い腕を延ばす空には
幾千万もの蝶が舞う

あなたの放つ鮮やかな香りは
死蝶が織り成す蜜の香り
憂う唇があまりに紅くて
メタルの瞳を見落とした

闇の舞台であなたは舞った

わたしはもうあなたの足下
雄蝶の香り立つ舞台になる


自由詩 蝶舞台 Copyright オンガシ 2010-02-15 00:39:17
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