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息継ぎするタイミングを失って
無意識に歩道から乗り出した体
クラクション慣らして通り過ぎる車
瞬間 現実世界とのタイムラグ

まるで水中にいるかのような浮遊感

信号の点滅に身を委ねて
走り出さないまま立ち止まる
肩が当たって怒鳴ってきた相手の顔なんて
覚える間もなく人波に流される

時々ね僕はどちらが右か左か分からなくなるんだ

どうやったらみんなと同じくらい上手に泳げるようになるのかな
体の構造も生活週間も大して違いはないはずなのに
ぶつかって流されて鱗は堅くならず剥がれていくだけ

オボレルサカナ

オドラナイムネ



腕時計がないと不安でしょうがない
重たくのしかかるプレッシャー
ショーウインドウが映し出すのは
死んだ魚のような目をした顔

時々ね僕はどちらが上でも下でも同じ気がするんだ

どうしてみんなは何食わぬ顔して流れに溶け込んでいけるのかな
全てを受け止めて生きているほど器用にはとても見えないのに
吐き出す声は泡になって青いビル街に弾けて消えていく

オソレナイカラ

オモイトハウラハラ



駅前のビルに貼られた巨大な広告
人間になりたい魚の女の子の映画
現実世界では本当にそんなこと思うのかな?

どうやったらみんなと同じくらい上手に泳げるようになるのかな
体の構造も生活週間も大して違いはないはずなのに
ぶつかって流されて鱗は堅くならず剥がれていくだけ

どうしてみんなは何食わぬ顔して流れに溶け込んでいけるのかな
全てを受け止めて生きているほど器用にはとても見えないのに
吐き出す声は泡になって青いビル街に弾けて消えていく

どうやったら世渡り上手だってみんなに言われるようになるから
社会という荒波の中で塩水を舐めながら流しながら
不器用なりに泳いでいく 時には流れに逆らうように

オノレノカナタ

オワラナイユメ


自由詩Copyright 1486 106 2010-02-13 23:23:46
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