冬と歩
木立 悟





書き加えられつづける一枚の絵
壁の裏側 震える黄金
穂を渡る火
羽の業を見すえる目


銀の石が燃えている
街のひとりを呼んでいる
影との指きり
かなえられなさを生きるということ


希みも呪いも同じと知り
焼かれるものの声あびるとき
土の上の夕べ踏みしめ
空の外の言葉を知る


轟々と咲く
轟々と撒く
浮かんでは去る十の顔
灯と火と燈と樹と星の距離


冬の境を巡る背の
赤い実と羽 棘と影
鉄の手首 凍える砲
常に風の分身を向く


空を緑にほどく声
重なりつづける滴をたどり
午後とじる曇
午後ひらく曇の軋轢を呑む


夜は近く 夜は近い
夜は足下 夜は深い
次の一歩に終わる己れの
絵を負いながら歩みつづける


窓が窓に渡す骨粉
幼い指は土にこぼして
星の裏側へ向かう光の
まるくゆがんだ道のりを聴く




























自由詩 冬と歩 Copyright 木立 悟 2010-02-13 15:34:17
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