朝の季
木立 悟



ゆるりところがる指のからまり
ほぐれるたびに空は変わる
ふるえからゆらぎへ
青から碧へ
変わりつづける遠くの道を
冬はたしかに歩いている



銀に洗われる世界に立ち
流れ落ちるもの
流れ落ちぬもの
少しずつ目覚めるものを見つめている



朝に棲むものが光を浴び
羽を持つ双つの声になり
原のあちこちを歪めて浮かぶ
鈍の凹凸とともに廻っている



時間へと伸びる手は熱く
眠りをどこかへ隠してゆくのに
羽はひとつずつ見つけてしまう
落ち着かないものたちと
追い払われたものたちにつけられた
変わりつづける区切りの色が
細い道となり 分かれながら
にじんでは にじんでは はばたいている
目覚めては 目覚めては はばたいている



通りすぎてゆくものたちが
自身のことしか語らぬ朝にも
羽はまたひとつ眠りを見つけて
遠い道をふたつ横ぎり
銀と緑の原に遊ぶ
鈍の子らへと手わたしてゆく







自由詩 朝の季 Copyright 木立 悟 2004-09-27 14:41:46
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