あたたかい夢
塔野夏子

こんにちはさよなら きっとまた会おう
君がそれをまだ信じてるなら なんて切ない
灰色の木洩れ日 小さな湖
手を振って笑って
次はいつどこで会うかわからない それが素敵
思うようにうまく歩けないけど 今はこれでいい

あのときプラットフォームで
君は空ゆく鳥と雲とを見てた
僕は線路の遠くを見てた
君のために祈った
あたたかい夢に溶けすぎてしまわないように

古びた階段 途切れがちなオルゴール
癒せるはずもない傷を
だけど連れてゆくしかないだろう
ポケットに花びらを入れて
雨があがれば虹が架かるかもなんて
少しだけ期待しながらさ

さよならこんにちは また会えてうれしい
君がそれをなお信じてるなら なんて優しい

風が吹いてるよ 今はこれでいい
やわらかな丘 忘れていた白いアーチ
あのときいっしょに乗った列車は 今どこを走ってる

叶うなら思いがけず何度でも
君と出会おう あたたかい夢に溶けすぎてしまわないで
手を振って笑って
いつまでもいっしょみたいな気がしてた
あの日々のこと少しだけ思いだしてさ






自由詩 あたたかい夢 Copyright 塔野夏子 2010-02-09 20:34:52
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