車中にて
葛葉もなか
20代後半くらいだろうか
その女性はサッと席を立ち上がり そこに自分のカバンを置いた
そしてススとその男性に近づいていった
男性は盲導犬を連れていた
そっと肩を叩き 自分が座っていた席に導く
ありがとうの言葉に 彼女は静かに微笑んだ
一部始終を見届けて ワタシはくるりと背を向けた
凍ったココロに陽が射した
眩しくて 目を細めた
暖かくって 涙が零れた
自由詩
車中にて
Copyright
葛葉もなか
2010-02-09 13:37:14