Amorphophallus konjac
小池房枝

こんにゃくはふと
ひとのからだの中を流れてみた

あたたかく
なるたけさらさらの血になって
それはとても
こんにゃくいち

もとはといえば
こんにゃくは食べ物なのだが
焼きものや揚げものはあまりきかない

たいていはいつも
こんにゃくに

ひとになってみると
なまえで呼ばれる
こんにゃくさん

呼びかけられて
へんじをしてみたりみなかったり
こんにゃくよ、ん?

ことば、というもの
あーかいぶ、としてのいんたーねっと
こんにゃくご
こんにゃくろく

さぁつぎは
こんにゃくななかしちか
いつだったか新幹線の窓から見た
謎の植物畑

一瞬
まぼろしか
それとも平行植物かと思った
大きな葉を繁らせた不思議なみどり

あれはこんにゃくだったのだろうと
やっと思い当たったのは
群馬県をずいぶん過ぎてから

いらいいつも
こんにゃくというと
あのときのみどりを思い出す

こんにゃくをゆくひとよ
こんにゃくをうたうひとよ
あなたがいつか一面のこんにゃくばたけに
たどりつけるといいとおもう

こんにゃくについても
こんにゃくについたと何もきづかず
ただそこを
通り過ぎるだけでも


自由詩 Amorphophallus konjac Copyright 小池房枝 2010-02-07 16:55:57
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