光の筋
みずまくら

熱が下がったのだろう
うつら、うつらしていた

私は碧く底の知れない
淵に浮んで
水の深みを見ていた

耳もとを太陽の光が筋になって
淵の彼方を目指しているが
その光の筋の先は
揺らぐ碧に融けておぼろ
心地いい浮遊感
耳もとに波の音が優しい

私は
光の筋の行く手を知りたくて
立ち泳ぎに移ると
光の筋のその先を
足で強くかき回した

タップン!
耳もとが揺らいで波の音がして
碧い淵と光の筋が
消えてなくなった

気が付くと目の前の
赤いひとつ目フックが
私にウインクしている

その時私は
寝返りを打っていたのだ

しばらくして
水枕
何故か こぽこぽ、コポンと
独りで水を鳴らすのだった


自由詩 光の筋 Copyright みずまくら 2010-02-06 17:28:28
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