今日も空は青いじゃないか
within
目覚めて闇 朝
まだ夜の明けてない六畳の部屋で
叫びたくなる
何かをしらせたいのではなく
ただ叫びたくなる
背中をつき破って羽化したいんだ
人がひとでなしになるのは
あまりにも世界がやさしすぎて
何もかも受け入れてしまうので
器からこぼれ落ちたくなるからである
だから僕は成虫となって
ひとでなしになりたいんだ
指先の神経から熱が逃げていく
豊饒と先鋭という
同時には成り立たないものを
拙い舌でかたち作ろうとして
轆轤の上の粘土を
冷たい指先で
歪めてしまう
二度とは同じかたちには戻れないから
乾いた眦は
じっと動こうとはしない
夭折した青年の歌声は
テープレコーダーからハードディスクへと
受け継がれる
掘り起こされた二万年前の
頭蓋骨は
受け継がれてきた死を
僕の生に結びつける
卑怯者と呼ばれても
世界の素裸を盗み見することはやめない
今日も空は青いじゃないか
今日も空は赤いじゃないか
今日も空は透明じゃないか
蟄居する虫達も
騒ぎはじめるだろう
一筋のほそいほそい天蚕糸のような光が
銀河のへそから
週末の雪降る深海へと辿りついたから