『落陽』
東雲 李葉

燃え尽きたような落陽を懐かしい目で見ている
時の流れはひどく穏やかに僕の首に指をかけ
少しずつ呼吸を減らして眠りゆく
今から三日間消えてしまっても良いですか?
どうか探さないで下さい 僕はどこにもいないのです
世界中から隔絶されて一回だけ亡くなってみたいのです


ああ、美しい色をした空だ。


すべてを手放してしまっても構わない夕暮れ
心はすこぶる穏やか 欲しいものなど何も無い
酸素が届かずかすんでゆく脳と視界
三分後にそちらへいってもよろしいですか?
優しい声が聞こえた気がした どこを探してもいない人
あの赤い陽が落ちる頃には誰も僕の名前を知らない


自由詩 『落陽』 Copyright 東雲 李葉 2010-02-05 17:21:19
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