消失点
本木はじめ

開かれた窓が必ずしも
空ではないとゆう君が開く
歌集の背景も部屋ではないとゆう
綱渡りな瞬間が連続している

今日は一番新しい日

みんなに会いに行こうと思ったけど
道はすべて絶たれてしまったので
手紙が燃えます
たとえば映画など観に行こうよと
思いましたが
スクリーンが燃えます
お菓子など買って行こうと思いましたが
お菓子が燃えます

大気とかが空に広がっていてもうどうでもいいんです

あの時登った山が巨大です
道草が無数に伸びてしまい
どれも断つことができなくなってしまったのです
花?
そんなのもう枯れたでしょう
あの日みんなで写った写真燃えます
君が言ったことば燃えます

秋です

なかなか煙草に火が点かない
夕方の季節です

もう空があちこち燃えてしまって
屋上から窓際からベランダから欄干から
みんな燃えてしまって
きみの瞳も長い髪も両手の平も
ぼくの言葉も
みんなみんな燃えてしまうので


涼しい縁側でお茶を飲んでいるぼくら

「遠いね」


なかなか煙草に火が点かない夕方の季節

ここにいるとゆうことは
ここにいるとゆうことは
ここにいるとゆうことはここにいないとゆうことではないとゆうこと







自由詩 消失点 Copyright 本木はじめ 2004-09-26 17:53:58
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