真夜中の雪
仁惰国堕絵師

雪だ、雪が降っている
真夜中に降り続く しんしん降りてくる

雪降る夜はワクワクする
台風の朝のように心が躍る

そして今日とは違う明日の景色を待つ
窓に張り付く淡白い結晶を眺めながら
窓に映る淡白い景色を眺めながら
今日とは違う明日の景色を待つ

きっと一夜にして世界を一変させるにちがいない
人と景色と淀んだ空気は変わってしまうにちがいない
ぬかるみの中に映る青空が
まだ何も変わっていないことを思い知らせる、それまでは

雪は降り いつかは止み
変わった世界が戻ってゆく
過ごしやすく穏やかな日和はすぐ目の前に

雪よ、真夜中の雪よ
いつかは溶けて無くなる雪よ
別の世界に変わったと勘違いさせたまま
できうるかぎりの長い間
そのまんまでおいてくれ

本当は何もわからないまま
ゆっくりかわっていくのでしょう?
本当はなにもかも
ちゃんとわかっているのだから


自由詩 真夜中の雪 Copyright 仁惰国堕絵師 2010-02-04 22:05:04
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