針土竜
散布すべき薬物の所持2
上辺をなぞるように表面的な毒が粉を吹いている
身辺を洗い流すように煌びやかな腺液が熱を持っている
いつでも暗い部屋で一人でいる
それが好きだと胸を張っては言えない
異曲の虫なのかどうかもわからない
ネガポジ反転した自分の遺影が頭の中に浮ぶ
残忍な不生活としか言いようが無い
こだま はあさっての方向に飛んで行き
僕は苦しむことを知らずに逃げ出した
サザンカの色みたように腐った言い訳をし
アオザイの華みたように隣人を性転換した
不確かで遠慮の無いその様は
走査顕微鏡に見えるナノミクロンの掻傷に似ている
窓辺に聞こえるのは何とも陰惨な情事である
僕は屍の腰帯を振り解き
色気を醸す白痴の少女の みほと に口づけする
培養ガラスの爛れた香りが漂い
愛液と同じ薬品が僕の口腔に流れていく
そして
黄色くて美しい場所を思い僕は
黒い部屋の青白い顔をした かばね の股に
ずっと口づけ続け疲れた舌を休めた
フナムシが背中を弄る中
悲しくも嬉しくも気怠くもない
そんな気分で眠りにつき
鬱蒼として澱臭い惰眠であれと願った
結局自分がかわいくて仕方が無かったのだ