目を閉じて、いる
伊織

わたしが
死んでいった日々を
つぎつぎとかぞえる

いくつもの
忘れてきたものは
燃えるごみの日になんの断りもなく捨てられてしまった


脱皮しても
脱皮しても
同じ
(わたくし)

手を変え品を変え再生産されるばかりで
何も手に入れることなどできやしない




ああ、今日も
針のむしろの視線ならまだしも
物体としてしか扱われない存在は
羽毛の蒲団をぐるぐるに巻きつけて
左の隅っこに何度もキスをする

かずすくない幸せに
ガンマ補正をかけて
目の前で抱いて見せるのがくるしいのです





     あたたかいね
     あいしてるよ



  むぎゅ   だの
  もふもふ  だの
  なでなで  だの

 食べて
 食べて
 甘い部分だけを飲み込む




     あたたかいよ
     あいしてます





このまま眠ることができればハッピーエンド
そんなことは知っている

 (もう一錠)

妄想の影もそろそろ薄れてしまい
飛び込む先を
また 見失う


自由詩 目を閉じて、いる Copyright 伊織 2010-02-03 18:49:10
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