アヴェ・マリア
乱太郎

午前一時七分

   ごらん
   粉雪が降っているよ
   まるで天使の羽が舞っているように
   今は
   僕らだけの窓辺
   君と一緒に過ごしたクリスマス
   最初の告白


午前七時四十五分

   起きたかな
   君は低血圧でいつも朝は苦手
   今朝は僕が顔を拭いてあげよう
   フェミニンピンクの口紅
   君のお気に入り
   君と一緒にドライブした休日
   化粧も濃い目に


午後十二時二十二分

   眩しいね
   太陽が覗いている
   白い肌を撫でるように
   出不精の君は
   よく昼下がりに読書を
   愛読書は「風と共に去りぬ」
   君と一緒に過ごした公園の日向
   微風がめくった頁


午後三時五分

   話ししようか
   トルコ桔梗の花が綺麗だったね
   君の好きな花
   花言葉は「深い思いやり」
   君と一緒に植えた花壇
   いつまでも咲いていると思った


午後六時十三分

   茜色に染め上げた空は
   想い出さえも燃やしてしまうのか
   落日とともに
   伸びゆく影が白い部屋を覆う
   時は止まり



   さようなら
   君 

   眠れ 安らかに



自由詩 アヴェ・マリア Copyright 乱太郎 2010-02-03 14:31:13
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