小川 葉

 
 
なんとなく
繰り返されていく今を
なるべく続けられるように
わたしたちは願い
歌うことさえした

歌うことよりも
大切な今があると知った
わたしたちは押し黙り
声を失いさえした

人であるために必要なことを
一枚の様式に
書き残していく

言葉にならないのは
鏡に写る
わたしの顔

今この時も人が生まれている
その時のことを
思い出すことはできないけれど
見えていたはずだ
この光だけを
わたしたちは信じていた
 
 


自由詩Copyright 小川 葉 2010-02-03 01:18:31
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