したためて
かんな



もしもし
あけましておめでとう
お元気ですか

留守電を再生して
聴こえてきた声は懐かしかった
携帯電話越しに冬の吐息がただよう
新しい年のはじまりに
あなたの声はふさわしく、とても穏やかだった
昨年を迷走したわたしに
今年は相変わらずの顔をして
小走りにやってきた

季節を巡って
あなたの足音は
ひたり 近づき、ひたり 遠のく
会いたい
そう願うきもちが恋でないと知ったのは
いつしか
わがままに過ぎた歳月に寄り添ったあたたかい手のひらが
やさしく包み込んでくれたことに
甘えすぎた、からだろうか

また、ひたり どちらへ

もしもし
あけましておめでとうございます
わたしは元気にやっています
新しい年がお互いに良い年になりますように

この留守電を聴いたなら
あなたはホッとまた、ため息を冬に落とすのか、わからない
春になれば雪は消えて
足跡を追いかけることは、かなわなくなるけれど
それでもいいのだろうと時が過ぎるのを待つ

ほころんだつぼみに
実がつくことはなかったとしても
いつしかしおりとなって
お気に入りの本に挟まったままで、春風になびく
花ひらいた花のままで



自由詩 したためて Copyright かんな 2010-02-02 15:35:33
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