雪の白とため息の白
麻生ゆり

ため息まじりの雪が
音もたてずに降り積もってゆく

そうよ
ため息は空気よりも重いのよ
あなた知っていたでしょう?

でも変わらず
雪は何も語らず
ただ街を白くする
白くする…
白くする…

ため息も
私のパーソナルスペースから出ることなく
落っこちて
落っこちて
そして誰も気づかない

雪が好きな人でも
あまりに多すぎると
邪魔者だと思うようになる
余裕がなくなってしまったのね
容量を超えただけの雪はただ

嗚呼、とまたひとつため息
神様知っていますか?
私は罪深い女です
だから生き続けなければならないなんて
本当にあなた様は業が深い
その衣を投げうって
さっさと神を辞任しなさい!

寒々とした真っ白な空は
何も語らず
地上に雪を落としている
これが何かの贖罪であれば
私たちはどれだけ救われることだろう…

あなたごめんなさい
イブをそそのかした蛇のように
私はあなたを誘惑してしまったのかしら?
二酸化炭素のようなため息は
やがて濁って腐臭などを振りまいてはいないかしら?
せめてわかるまで
どうか私に触れないで!

ため息まじりの雪が
音もたてずに降り積もってゆく
雪も白ければため息も白い…
だけどその白さがどこまで本当なのか
存じる人は誰もいない


自由詩 雪の白とため息の白 Copyright 麻生ゆり 2010-02-01 14:55:11
notebook Home