それとも
霜天

大通りが静かな日でした
西側に傾いた窓から空を見下ろすと
秋でした
寝転んだ姿勢のままで
耳を使って確かめてみても
国道は確かにそこにあって
とても
静かな日でした


赤とんぼが一筋
流れていくと
部屋の温度が下がったような、気がして
慌ててカーテンを閉めて
目を瞑っても
沈みかけの夕日の、地平に残った欠片が
焼きついて
いつまでも、いつまでも
離れてくれない
堆積していく


使い切れなかったものが、こんなに
鉛筆や、消しゴムの背丈で
あの日から見つめています
僕は寝転んだままで
見つめられています
いつか、遠くで
積み上がったとき
吐き出す方法を教えてくれるでしょうか
それとも、呑み込む方法を

とても静かな日でした
使い切れなかった鉛筆は
今はもう行方不明で
ゴミ箱の底
引出しの奥
使われる日を
待っているのか


それとも、と


自由詩 それとも Copyright 霜天 2004-09-26 02:20:01
notebook Home 戻る