春
月乃助
ちいさな声
まちがいでなく
そんな
気がしたのです
さくらの木の下で、
ぽつんと
咲きほころんだ
黄色いクロッカスの花に、
そこだけ、せっかちな春がやってきていました
“Yes." said I.
知らぬ間 はかなさに、
めぐる季節の想いがあるようで
胸にせまります
朝食に食べたあたたかな卵の色を
思い出しながら
ほんの少しばかりの
声にどうしても
歩みをとめなければならない
寒さに不釣合いな鮮やかさなのですね
不器用なほどの早咲きに、それでも
ありがたがって、
まだ
手にあふれるほどの
冬のさびしさに…
抱きしめられても
飛び切りの
笑顔をおもいだしては、
大切なあなたに 見せたくて
ひとりじっと
いつまでも
人がいぶかるのも気にせず
見つめていました