自己主張の月
朧月

月が大きく自己主張した夜
私の家出はまた延期される
わかっているのだもの
どこへもゆきたくはないと

見知らぬ男の両の足の間に置かれ
身動きとれない それが
子守だと知ったのは母の笑い話から
毛むくじゃらの足は巨木のように
小さな私を凍らせた

幼児にはわからないと思うのはあなたの罪だ
そう言ってしまいたい夜はもう ないよ

点々と変わる足元の模様は
寒くなる心にこたえて いつも不安定
見える景色を受け入れることで築いてきた
私の狭い居場所はここで

隙間から大きく見える月は
ときに尖りながら いつもそこにあった

悲しいとかそんな気持ちはありながら
食することで生き延びる毎日に変わった

真っ赤になってる太陽は
入れ替わりの月の静けさと
今 握手して おちるよ
私のいま震えてるカラダだって
明日をいきれるんだ



自由詩 自己主張の月 Copyright 朧月 2010-01-30 20:05:04
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