お魚と、燃えたぎる太陽の挽歌
窓枠


海面にゆれる
ずっと上空
どんな世界なのか
知らないけど
太陽とやらが眩しくて
ぶくぶくぶくぶく
信号を送り続けた
返事はまだこない


産卵を終え
返事はきてないけど
いまでは稚魚たちが
それはもう可愛い
稚魚、たちが
しがみつくようにして
私と泳いでる


稚魚たちが
いっぱしの大人になるころ
私は珊瑚の隙間で隠居
返事を待ちながら
太陽は年々 肥えていく


カモメが便りを持ってきた
どうやら
どこの海も
干からび始めたらしい
返事もまだまだこないから
私を食べないでねと
やわらかく 断りは忘れず


春がきて
夏がきて
秋がきて
夏がきて

夏がきて


返事がきた
待ちに待った
その返事を知るときには
とうに干からびてしまった
私の泳いだ海

丸裸にされた気分で
恥ずかしがる年でもなくて
 瞳は焼けてしまって
 空気に触れてしまって
こんがりとしてしまった もう
私は返事をだせないのだと

灰色の涙が流れていた


自由詩 お魚と、燃えたぎる太陽の挽歌 Copyright 窓枠 2010-01-30 12:56:32
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