ごはんつぶののり
朧月
流した涙の数だけ 強くなれるなんて
うそです
うそです
苦しんだ後は救われるなんて
うそです
うそです
努力で得られないものは
備わっていないものは
泣いても
泣いても
もつことなんてできないのです
ああ
おかあさんがなぜ泣いたかを
知ったってもう遅い
ああ
お父さんが怒ったわけを
理解したってもう遅い
家族は
それだけで分かり合えるなんてだれが言った
繋ぎあう手 触れるカラダ は
全てをなんて 伝えない
あなたが よそってくれた ごはんを
黙って食べてごめんなさい
ひじを ついたことだけでなく
黙っていたことも 叱って欲しかったなんて
ああ
今さらでしょうか
夢と夢の間の
ほんの隙間でいいから
それぞれの 想いを
ごはんつぶで ひっつけられないでしょうか
そんなことを
おばあちゃんが やっていた
あの 深いしわのある
手を思い出しているのです