ランプ
千波 一也



ランプの火は
その小さなところが
ちょうど
いい

消せない名前があることや
消えない国があることを
背中でそっと
照らして
くれる

それがもし
厳しさだとか
やさしさだとか
呼ばれてしまうものだったなら
すぐにも捨てられる
道具であった
だろう
と、
煤にまみれた
ガラスの言葉を
小石を転がしながら
描いて
みる

ランプの火は
夜を渡るためのものだから
大きくないのが
ちょうど
いい

とてつもなく深い夜を
望むのならば
別だけど









自由詩 ランプ Copyright 千波 一也 2010-01-28 15:24:42
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